今回は森町でひこま豚の生産から販売まで行われている、株式会社ひこま豚と有限会社道南アグロの日浅代表に、「SPFへのこだわり」と「自分の手でお客様にひこま豚を届けたいという想い」についてお話を伺いました。
養豚業界参入のきっかけは父の一言
―本日はよろしくお願いします。まずは養豚業界に携わるようになったきっかけを教えてください。
元獣医だった父親の「豚やるぞ!」っていう突発的な発言がきっかけです。中学生の時にいわれまして、豚のこと何も知らないのに東京から北海道に連れていかれました(笑)
―かなりいきなりですね!何も情報がない中での作業は大変だと思いますが・・・
高校生の時に豚のことが嫌いになるまでまで手伝わされてきたから、かなり大変だったことを今でも覚えています。東京にいるときまさか自分が豚を扱うことになるとは思いもしなかったなあ。高校卒業後は神奈川の大学に進学したので、高校時代ほど手伝うことはなくなりました。

―そうですよね。大学卒業後はお父様のもとで働かれたのですか?
大学卒業後は父親の会社に戻りました。でも、高校時代に養豚の手伝いをしてきた苦い記憶を思い出してしまって1年程で苦痛になったんですよね。
丁度その頃に、父親が知り合いの社長さんと外食事業(レストラン)を立ち上げたので、外食事業の方に仕事の場を移しました。
―レストランで働かれた後に、生産の現場に戻ったのですか?
そうですね。私が38歳くらいの時に、生産現場に戻ったんですけど、もっと早く戻るべきだったと後悔しました。実際に長年レストランで働いた後、生産現場に戻った時にやっと生産の大切さに気づけたんですよね。
―生産現場と販売の両方を経験したことで、両方の大切さを痛感できたということですか?
その通りです。両方の経験を通して、生産元である道南アグロと販売元であるひこま豚を経営しようと思いました!

生産でこだわり続ける「SPF」
―生産についてお伺いします。生産元である有限会社道南アグロはいつ開業されたのですか?
私の父が1988年9月に開業しました。父はもともと獣医だったこともあり、畜産農場を訪れる機会が多かったので、訪問を重ねるごとに興味を持ったのだと思います。

―獣医から生産者になるのは珍しい・・・
―豚を飼育する上で最もこだわり続けていることは何ですか?
SPFという飼育方法を徹底していることです。
北海道では私たちが初めてSPFを導入した農場になります。現在、SPF豚認定農場は北海道で13箇所、全国でも185箇所しかありません。SPFを実現するには多額の設備投資が必要になるのですが、将来的な薬品代を軽減することができます。
※SPFとは※
Specific Pathogen Freeの略で、あらかじめ指定された病原体を持っていないという意味です。豚の慢性疾病を排除し、健康な豚を育てる飼育方法になります。

―SPF、今まで聞いたことないのですが・・・
全国的にはあまり知られていない飼育方法だと思います。でも、北海道ではSPFというワードがCMで流れてたこともあって結構有名だったりします。
―そうなんですね。ということは北海道で養豚するにあたり、SPFは当たり前という認識が定着し始めているということでしょうか?
まさにその通りです。ですので、私たちにはSPFという認証だけでなく、農場HACCPとJGAPの認証もありますので、更に消費者の方に安心してひこま豚を召し上がっていただけます!
ひこま豚のこだわりを「直接」人に届けたい

―販売についてお伺いします。販売元である株式会社ひこま豚はいつ開業されたのですか?
2013年5月に私が開業しました。ひこま豚の加工・販売だけでなく飲食店の経営も行っています。

―豊富な加工品や飲食店など、自ら手掛けているものが多いですが、何か強い想いがあるのでしょうか?
こだわりぬいたひこま豚を、「いろんな食べ方で、多くの人に、自分の手で」届けたいという想いがあります。創業当初は、ソーセージやベーコン、ロースハムなどありきたりなものばかりでしたが、多くの人にひこま豚の美味しさを知ってもらいたく、試行錯誤して開発してきました。

―自らの手で届けたいということなのですが、主な販売方法は直売なのですか?
うちでの販売方法は直売のみとなっています。
―!?
ーなぜ直売のみなのですか?
ひこま豚のシェアを広げたいという想いと、ブランド力を維持したいという想いが強くて直売のみにしています。
―そうなんですね!まずはひこま豚のシェアを広げたいという想いについて教えてください。
生産者として年間約二万千頭の豚を出荷しているのですが、ひこま豚自体は二割ほどしか生産できなくて貴重なんですよね。なので市場には出さずに自分で販売することで、少しでも多くのお客様に「直接」ひこま豚を手に取っていただけるようにしていきたいです。

―次いでひこま豚のブランド力を維持したいという想いについて教えてください。
自分でひこま豚の値段をつけていくことでブランド力を維持したいです。他の人に、自分がこだわって育ててきたひこま豚に値段をつけてほしくないと思うほど、こだわって大切に飼育しています!
ーちなみに、ひこま豚のこだわりを最大限堪能できる食べ方はありますか?
ーそれはもうしゃぶしゃぶだね!素材の味を感じることができて、他の豚肉との味の違いが分かると思うよ。ひこま豚は脂に甘味があって、あくが出にくいというのが特徴的です。

※自慢の味を生み出す飼育方法※
①駒ヶ岳のミネラル豊富な水を与える
ミネラルを豊富に含む水を与えることで、飼料だけでなく水分からも栄養を補給させています。また、水も一定の温度であるため豚に無駄なストレスを軽減することができ、健康な肉質を実現しています。
②180日の飼育期間
一般的な豚の平均飼育期間は、160~170日ですが、道南アグロでは飼育期間に180日ほど費やしています。期間が延びれば豚も多くの栄養を補給することができますが、農業の経営とのバランスを考慮して、160~170日ほどにするのが一般的です。しかし、道南アグロでは、少しでも高い味の質を維持するために、10日ほど長く期間を設定しています。
日浅さんが目指す未来像

―まず生産者として今後挑戦していきたいことはありますか?
生産者としては、生産現場の規模を大きくしていくことと、新しい豚肉を作ってくことに挑戦したいです。ひこま豚を品種改良するのではなく、餌などの飼料環境を変えることで違った味の豚肉を実現したいです。
―では販売者として今後挑戦していきたいことはありますか?
初の試みですが、少しでもシェアを広げるために、豚肉のみを取り扱う焼き肉屋に挑戦したいと思っています。焼き肉屋に限らず、他にも食堂や精肉店なども他地域に拡大していきたいです。また、コロナによって頓挫されたけど海外への輸出にも挑戦していきます!
取材を終えて

今回はひこま豚と道南アグロの代表の日浅さんにお話をお伺いしました。ひこま豚の美味しさを多くの人に知ってもらいたいという想いで、自分の軸を変えることなく日々挑戦し続ける日浅さんの姿勢にとても感銘を受けました。畜産に関する取材は今回が初ということでかなり緊張したのですが、知識の乏しい私に丁寧に説明してくださいましてありがとうございました!
訪問後、こっそり豚まんを購入させていただきました(笑)おいしかったです!

ライターが選ぶ!ひこま豚おすすめの商品

ひこま豚特選しゃぶしゃぶセット 800g 特製ポン酢付
SPF認定豚のひこま豚特選しゃぶしゃぶになります。駒ヶ岳のミネラル豊富な水と厳選された飼料で育てられたひこま豚の肉は、脂に甘味があり、健康な肉質となっております。お好みのたれと共にひこま豚の素材の良さをぜひ堪能あれ。
株式会社 ひこま豚
名称 | 株式会社 ひこま豚 |
おすすめ | ひこま豚特選しゃぶしゃぶセット 800g 特製ポン酢付 |
住所 | 〒049-2142 北海道茅部郡森町字赤井川139 |
定休日 | 毎週水曜日 |
発送可能日 | ‐ |
備考 | – |
