経営

昭和4年創業。北海道老舗豆腐メーカーこだわりの豆腐作り日乃出食品

今回は、4代続く老舗豆腐店の代表を務める工藤英洋さんに「豆腐の美味しさ」や「会社の転機」についてインタビューさせて頂きました。

昭和4年に創業した北海道屈指の老舗豆腐メーカーである日乃出食品。北海道で唯一の城下町である松前町にて「日乃出屋」として豆腐製造を開始したのが歴史の始まりです。昭和36年に日乃出屋より「日乃出食品株式会社」として分離独立し、昭和37年には豆腐の長期保存が可能な完全包装「充填ブロー豆腐」を開発します。これにより遠洋漁業を行う船に詰め込まれ、船員の貴重なタンパク源としても重宝されていました。また、平成16年には消泡剤無添加、塩化マグネシウム(本にがり100%)のみによる、充填ブロー豆腐の開発に成功しました。こだわりの製法は水分の離水が抑えられ、甘味が抜けにくく、鮮度感が保たれます。

「外に出て初めて知った豆腐の幅広さ」

現在、老舗の舵を取る4代目代表の工藤英洋さんは北海道松前町出身。札幌の学校を卒業後、美容系の商社へ就職します。25歳の時に家業である日乃出食品に入社するために帰郷します。当初は同業者とのつながりもなく、豆腐に関しても同社の製法や味しか知りませんでした。右も左もわからない状況で豆腐を作り続けていく中で、一つの違和感を感じます。それは多くの消費者が豆腐を買う際に判断する軸は値段だということです。
 値段に合わせて商品を作ってしまうと、安い原材料を使い、効率的な製法を選択せざるを得ません。これでは、豆腐を購入してくださるお客さんだけではなく、豆腐を作る自分たちもこの現状に満足しているのかが分からない状態だったと話します。そこで自分たちの豆腐はどう評価されるのかを確かめるため、全国豆腐品評会に出品することにしました。このひとつの行動により、工藤さんに転機が訪れます。

品評会に出品することで、普通では考えられないような柔らかさの豆腐、驚くほど濃い味の豆腐など、値段に合わせた豆腐作りではない、つくり手の思いが溢れた豆腐と多く出会い、これまで感じることのなかった刺激を受けたと言います。自分たちの意識も変化し、特徴のあるこだわった豆腐作りに挑戦したい気持ちが大きくなったと話します。


従来、豆腐屋は親から教えられたことが全てで、他店の原材料や製法などを聞くことはあまり良しとしないような雰囲気があったそうです。しかし、品評会ではカジュアルに原材料や製法のことについて話合う姿が見られました。品評会は商品の評価を知るだけの場ではなく、有益な情報交換の場となり、直接お客さんの声を聞きながら、豆腐のこだわりや美味しい食べ方を説明しながら販売したほうが良いという声が、2018年に移動販売をスタートさせるキッカケとなりました。

「地元で採れた大豆で美味しい豆腐を作りたい」

移動販売では普段スーパーで販売している「やっこさんとうふ」とは別ブランドの「Jimo豆腐Soia」を展開します。コンセプトは「地元で採れた物を、地元で加工し、地元で消費する」。コンセプトの通り原材料は道南産大豆のみを使用。製造はやっこさんとうふを製造しているラインの横で、近隣の豆腐店が廃業する際に譲り受けた設備を使い、多くの工程を手作業で行っています。ノンボイルで作られた生豆腐は道南産大豆特有のショ糖分が多く含まれ、甘く濃厚な風味が楽しめます。そうして、2019年豆腐品評会北海道大会で「Jimo豆腐Soia」よそ豆腐が寄せ・おぼろ豆腐部門で金賞を受賞しました。

さらに、移動販売では「どこで売っているか分からない」、「豆腐一丁のために来てもらうのは気が引ける」という声に応えて、2021年8月に直営店「Jimo豆腐Soiaプラス」をオープンします。移動販売にて販売していた豆腐や豆乳、プリンのような豆腐のスイーツに加え、ドーナツ「Jimo Do(ジモドー)」や惣菜、豆乳ソフトクリームなどを販売しています。

「豆腐の美味しさを知ってもらいたい真っ直ぐな想い」

昭和30年代には現在のコンビニの店舗数と同程度の5万店舗以上存在していた豆腐店。しかし、現在は6000店舗程度にとどまります。大量生産による価格低下により、多くの小規模豆腐店は廃業を迫られました。また、厳しい価格競争を招いてしまった結果、豆腐本来の美味しさが消費者に伝わらず、豆腐業界全体の売上高は低下しています。

品評会で情報共有や、豆腐の美味しさを消費者に直接伝えることの重要性を感じた工藤さんは函館豆腐油揚組合の理事長として、「To Future(トウフューチャー)」プロジェクトをスタートさせます。このプロジェクトは、組合加盟店の豆腐店経営者らが農場の一角で、大豆を栽培し、加工して「はこだて福豆豆腐」として販売するという取り組みです。

地元で採れた大豆を使用して豆腐を作り、地元の人に食べてもらって、本来の美味しさを知ってもらいたい。その真っ直ぐな想いを持って、工藤さんはこれからも美味しい豆腐を作り続けていきます。

ABOUT ME
波江 真
ロカラの波江です。1998年北海道函館市生まれ。新卒でロカラに入社し現在1年目。趣味は「筋トレ」「スポーツ観戦」「ダンス&ボーカル系」など様々。北海道に面白い仕事を創りたいと意気込んで日々奮闘中。多趣味を生かして、いろんな切り口で北海道の魅力を発信します!