経営

きびだんごと地元のために動き続ける昭和28年創業(株)天狗堂宝船

岡山名物「きびだんご」とは異なる「きびだんご」。北海道のきびだんごは、北海道開拓の際に屯田兵が食べていた携帯食がもとになり、【事が起きる前に備え、団結して助け合う】から「起備団合」として1923年に発売されました。北海道開拓時の助け合いの精神と、「きびだんご」が誕生した大正12年に起こった関東大震災復興の願いが込められています。現在では北海道にある2社のみで作られています。その内の1社、北海道亀田郡七飯町にある(株)天狗堂宝船の代表である千葉仁さんにお話を伺ってきました。

きびだんご販売のきっかけ

ー本日はよろしくお願いします。天狗堂宝船の前身は千葉製菓ということで、千葉さんのご親族が始められた会社なんですか?

そうですね。私の祖父が立ち上げた会社になります。
もともとは函館市の菓子製造工場に勤めていたようです。そこで技術を磨いて、独立したと聞いています。

ーはじめから代表商品であるきびだんごを製造していたんですか?

いえ、はじめはそれまでに勤めていた製菓工場で作っていたカステラや地飴と呼ばれる昔ながらの飴などを作っていました。

きびだんごを作るきっかけは何だったんでしょうか

大きな要因は大手のパン製造会社が毎日大量のパンと一緒にカステラを納品するようになり、カステラをメインとして商売しているとなかなか太刀打ちできなかったんです。それから新しものを作ろうとなり、以前勤めていた製菓工場で作っていたきびだんごを作ることになった様です。

ーもうその頃には「きびだんご」は北海道でお馴染みの商品になっていたんですか?

そうですね。私たちが一番最後に作り始めたくらいの企業だと思います。

ー今では北海道銘菓「きびだんご」は全国でも2社しか作っていないと聞きますが、最後発なのにどうして今まで作り続けることができたんでしょうか

函館という土地のおかげだと思います。北海道では既に色々なメーカーが競争していて、最後発の私たちには付け入る隙があまりありませんでした。そこで、函館に近い青森から東北に展開していき、今では大手コンビニチェーン店さんでも取扱っていただいています。

ー全国でも北海道のようにコンビニやスーパーに「きびだんご」が並んでいるんですか?

そうですね。

ーすみません。。。全国的に有名な岡山のきびだんごとはまた違うきびだんごだったので、勝手にローカル限定商品だと思い込んでいました。

実は全国でも人によってはきびだんごといえば北海道の「きびだんご」を岡山のきびだんごだと思っている人もいるくらいなんですよ。

ーそうなんですか!すみません勉強不足で

いえいえ(笑)
それくらい身近に感じてもらえていることが嬉しいです。

駄菓子でありながら北海道が詰まっている

ー1本50円から買える、小学生が駄菓子屋に行っても背伸びすることなく買える価格ですけど、原材料にこだわりとかってありますか…?

原料にはとてもこだわっていまして、できるだけ北海道産の原料にこだわっています。砂糖の原料となるビートグラニュー糖、あん、オブラートも北海道産のじゃがいもから作られたでんぷんを使用して作っています。

ー!!!
それが50円ですか…?

多くの方に買ってもらえているので何とかやっていけてますね。

ー先ほど工場も見学させていただいたんですが、かなりの工程が手作業で進められていますよね。

あの弾力感と特徴的な柔らかい食感はなかなか機械化しにくいのもあって、出来ない所は手作業で丁寧に作っています。

ー今度からもっと味わって食べさせていただきます。

北海道の味を楽しんでください(笑)
これからも変わらず、お子さんでも手を出していただきやすい価格はこれからも意識してやっていきたいですね。

七飯町を発信していきたい

ー「ななえスイーツシリーズ」がとても気になっていました。きびだんごとは似ても似つかないパイだったりドレッシングだったり。

平成19年から七飯町に移転したことがきっかけで作り始めました。もともとは函館市に工場を構えていたんですけど、七飯町に移転したからには、何か七飯町のためになることをしたいなって思っていたので。

ーそうなんですね。個人的にはりんごの真空パック「レアフルりんご」がお菓子とも違う、きびだんごと製造技術が全く違うと思うんですけど、どうして天狗堂さんが作っているんだろうって気になっていました。

「レアフルりんご」に関してはその前にりんごパイを製造したことがきっかけですね。
七飯町のりんごを使ったりんごパイを作りたかったんですけど、七飯町のりんごを年中安定して供給する体制がどこにも整っていなかったんです。だとしたら自分たちで作るしかないだろってなって。

※七飯町は日本で初めて西洋りんごが栽培された町

ーすごい。

りんごパイに関してもパイなんて作ったことが無かったんです。なので、それはもう試行錯誤の日々が続いていました(笑)

ーだから自分たちでも加工しやすいようにシロップや添加物をいっさい使わない、りんご本来の風味が楽しめるものになっているんですね。

そうですね。各々の使い方に合わせて七飯町のりんごを楽しんでいただけたらと思っています。

ー今後の展開など考えていますか?

「きびだんごにこだわる部分」と「きびだんごだけにこだわらない部分」を分けて考えていきたいですね。
きびだんごだけにこだわらない部分は、七飯町のりんごを活用したお菓子の開発やチョコレート分野に力をいれていきたいですね。また、最近ではプロテインバーの開発も行っています。たまたま、きびだんごを作っている機械でプロテインバーを作れるということが分かったので、プロテインメーカーの方から製造を受託して、最近やっと販売まで漕ぎ着けました。

何だかんだ言っていますが、ベースにあるのはやっぱりきびだんごなので、「きびだんご×七飯町のりんご」のように「きびだんご×◯◯」ということをベースに考えていきたいですね。

ーそう考えると可能性は無限ですね。

今後どうなっていくか自分たちも分かっていませんが、やるべきことが沢山出てくることは楽しみで仕方ないですね。もっともっとお客さんが喜んでもらえるような商品を開発していきたいです。

ーまだまだ大変だってことが顔に出てます(笑)

楽しみでしかないんですけどね(笑)

ー自分も勝手にワクワクしてました!ありがとうございました!

編集後記

実はインタビュー中、代表の千葉さんの息子さんにも同席していただいていて、会社の将来のことについて2人とも楽しみだと話していたのが印象的でした。老舗ながらも、取り扱い始めたばかりの商材が沢山あって、「やっとアクセル全開で経営していける」と言わんばかりのパッション溢れる千葉さんを見ていると、自然とやる気が生まれていました(笑)

ABOUT ME
波江 真
ロカラの波江です。1998年北海道函館市生まれ。新卒でロカラに入社し現在1年目。趣味は「筋トレ」「スポーツ観戦」「ダンス&ボーカル系」など様々。北海道に面白い仕事を創りたいと意気込んで日々奮闘中。多趣味を生かして、いろんな切り口で北海道の魅力を発信します!